多くの臨床家の知見と工夫に満ちた本書は,「週1回」の精神分析的サイコセラピーの堅実な背景をもとにした,「週1回」の現在の到達点である。「精神分析」は,週に4回以上と定義されることが多い。そのため,多くの精神分析的実践は現実には週に1回という設定で行われているにもかかわらず,「週1回」は精神分析「ではない」何かとして扱われてきた。だが,わが国における「週1回」の精神分析的サイコセラピーの歴史は長く,その実践は肥沃な蓄積を築いてきている。その蓄積を土壌として現実的な選択肢としての「週1回」の力を示す本書は,精神分析的な志向をもつセラピストをばかりではなく,多くのサイコセラピストの必読の一冊となるものである。